クリスマスSS(ショートストーリー)

※この物語は本編とは関係ありません。

 


雪が降る季節。
夢から覚めた私は100年と言うギャップを当に忘れて
この“現実世界”になじみつつあった。

 

−フォート城 食堂−

 

ここはフォート城の一角。時刻は夕食時。

一足早く夕食にやって来た舞花と奏真はギョニックの手伝いで
料理の乗った皿を丁寧にテーブルに並べていた。

 

「皆さん遅いですね。 いつも犬尾さんは真っ先に来るのに」

今日はクリスマスを控えた前日。
師走という月に似合ってみんなは大忙し。
今日もまたいつも以上に夕食は時間は遅れている。
 

「確か今日、犬尾と渚は勤務日だったので
少し遅くなってるのかも知れませんね…
白銀と千鶴は非番だったと思いますけど…」

せっかく、クリスマスイブで私も取って置きの料理を用意していたのに、
まだ誰も席に付いていないテーブルと見ると少し哀しい。

 


(ガチャ)

 


「たっだいま〜」

「ふぁ…ぁ……」

 

「!」

ぱっと表情に明りをともした私を見て奏真さんは静かに笑った。

「噂をすれば、というやつですかね」
千鶴と白銀のタイミングの良さに顔を見合わせて頬笑む奏真と舞花。

 

「二人ともおかえりなさい。 一緒に出かけてたんですか?」

 

「ううん。 オレは一人でぶらぶらしてただけ。
シロくんはきっと寝てると思って帰りがけに連れてきましたー」

任務を終えたように敬礼する千鶴さん。

「え、白銀さん寝起きなんですか?」

昼寝どころではない時間に驚きの声をあげると白銀はいとも簡単に頷く。

 

「昼間あったかかったし」

「…今日は一日中雪降ってましたけどね…」

この一年の中の一番寒い時期に“あったかかった”と言える
白銀の睡眠快適温度の幅広さには驚いた。

 

「あれ、他は?」

 

席に着いた千鶴がまだいないメンバーをあげて視線を左右に振る。

「あ、吉太郎さんは研究室に籠りっきりで…

なんか、王子に出さなきゃいけない書類をまとめ忘れたらしいです」
 

検査ついでに様子を見た舞花は焦りに焦っていた吉太郎を思い出し、

あの様子では食事どころではないことを悟る。

 

「王子と弥彦さんは何も聞いてないですけど、奏真さん聞いてますか?」
 

「弥彦は王子に話しがあるので先に食事を初めていていいと言付かってますよ」

 

「ということは王子も来ないわけだ」

 


 

(ガチャ)

 


「うわあああああ! 超腹減った!! ギョニックーーー」

「!!」

唸り声をあげた犬尾がヘトヘトな姿で食堂に入ってくる。

後ろには渚もついて来ていて勤務組は一気に揃った。

 

「犬尾うっさい…只でさえ疲れてるんだから大きな声ださないでよね」

椅子を引いた渚が深いため息をこぼして腰を下ろす。

 

「お疲れ〜」
「お疲れ様です。 渚さん、犬尾さん」

 

「んー。 舞花、今日ごはん何?」

空返事のまま、渚さんは凝った首を軽く回す。

 

料理を並べ終えた舞花が席に着くと待ってましたと

言わんばかりの自身を持って取って置きの料理を紹介した。

 

 


「今日のメニューは“雪だるまシチュー”です!」


 

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